医療法人 実昌会グループは医療に特化した在宅療養支援グループです。


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当院での末期癌患者の在宅緩和医療(2022年1月~12月)
  • 当院での末期癌患者の在宅緩和医療(2022年1月~12月)

    2022年1月1日より2022年12月31日までの1年間に当院で関わった末期患者は70歳代、80歳代を中心とした男性29名、女性25名の計54名でした。

    原発病巣としては肺癌、大腸癌が最も多く全身のあらゆる癌患者さんの末期状態に緩和医療を提供させていただきました。

    紹介元医療機関としては山口県立総合医療センターが最も多く、末期状態となって癌に対する積極的な治療が終了した後、在宅での緩和医療を希望され紹介された患者さんが多数を占められておりましたが、癌治療は県立総合医療センターの主治医の元で継続されながら、在宅生活での諸症状に対する緩和医療は当院が行なうというような主治医2人制的に対応した患者さんも少なからずおられました。

    防府市内のみならず、山口市・宇部市の医療機関からの紹介をいただいております。

    当院で治療中に癌が発見され、当院での治療と平行して癌治療を受けられていましたが、末期状態となって原疾患、緩和治療とも当院で継続したり、原疾患の重症度や認知症など背景病態のため癌治療の適応とならず緩和医療となった患者さんが6名、元々は癌治療を受けていたが、高齢、フレイルのため通院が困難となった患者さんが、寝たきりとなったため往診での対応を求められた例が4名おられました。

    在宅緩和医療としては癌性疼痛コントロールを中心に多彩な症状緩和医療の他に、ストーマ管理、在宅酸素療法、胸水・腹水の穿刺、経管栄養、中心静脈栄養等、本人家族の求めに応じて必要とされる医療行為を行なっております。

    癌性疼痛のコントロールのため、オピオイド使用者は35名でそのうち18名でオピオイドの持続皮下注又は持続点滴等の注射剤での鎮痛治療を行なうとともに、終末期には本人・家族の同意のもとでミタゾラム等による鎮静治療も行なっております。

    癌性疼痛治療

    • オピオイド使用者 35名
    • オピオイド注射使用者 18名

    当院での在宅緩和医療の転帰としては、在宅看取りとなった方が30名、最期は病院へ転院された方が12名、2022年12月末現在で治療中の方が12名いらっしゃいました。

    転帰

    • 在宅看取り 30名
    • 転院 12名
    • 治療継続中 12名

    在宅で看取りとなった方々の看取りの場所は、自宅で看取りをした方が13名、当院関連の介護施設“プルメリア”へ入居(病院からの紹介直後から入居された方、自宅療養していたが終末期になって入居された方、看護小規模多機能型居宅介護“プルメリア”に登録され、終末期は同所への「宿泊」とういう形態をとられた方を含む)され、看取りとなった方が15名、別の介護施設で看取りとなった方が2名でした。

    在宅看取りの場所

    • 自宅 13名
    • 介護施設
       プルメリア 15名
       その他 2名

    当院での在宅緩和医療開始から1~3ヵ月の緩和医療の後、看取りとなった方が最も多くおられました。重篤な病態でも最後は家でという希望があり在宅へ戻られ数日で看取りとなった方もおられました。生命予後3~6ヵ月と診断されてた方の中には、在宅で生活することにより生活のリズムが戻り食事・睡眠が改善し癌性疼痛等の症状が緩和され本人の持つ生命力が回復し、事前の予想以上に在宅で生活することができた方も少なからずいらっしゃいました。

    在宅看取りまでの療養期間

    • 1週間以内 3名
    • 1ヵ月以内 5名
    • 1~3ヵ月 12名
    • 3~6ヵ月  4名
    • 6~12ヵ月 6名

    在宅療養後転院となった方の転院先はすべて紹介元の病院に受け入れていただきました。県立総合医療センターには、オンコロジーエマージェンシーによる病態の急変時に時間外でも直ちに対応していただけており、在宅療養をしている当院にとっては大変ありがたい状況となっております。

    自宅で転倒し腰椎圧迫骨折された際に受け入れていただいた桑陽病院、当院で診断後治療していた患者さんが急変した際、入居していた施設では看取りができないとのことで急遽入院を受け入れていただいた三田尻病院のスタッフの方にも感謝申し上げます。