医療法人 実昌会グループは医療に特化した在宅療養支援グループです。


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通院困難であった末期心不全<在宅復帰から見取りまで> (69歳女性)
  • 通院困難であった末期心不全<在宅復帰から見取りまで> (69歳女性)

    診断

    心サルコイドーシスによる末期心不全

    経過

    10年前に胃癌で胃全摘出手術を受けている。5年前に心サルコイドーシスによる慢性心不全、心室性不整脈の為、外来治療を受けていたが、4月より食事が全くとれなくなって全身倦怠が強く、一人暮らしが困難な状態のため入院となる。

    BNP1694と末期心不全の急性増悪の為治療を受け、症状は落ち着いたが、左心駆出率16%でBNP813と心機能低下が著しく、心臓リハビリを行っても活動量は2メッツ程度であり、一人暮らしは困難な状態であるが、可能な限り自宅で療養をしたいとの本人の希望もあり、看護小規模多機能居宅介護施設を選択される。

    生活状況

    独居で遠方の娘が時々帰省する。親交の深い友人2名、近隣の方の協力あり。

    経済・制度的状況

    医療保険:国民健康保険

    食費負担:難病医療費助成制度費(自己負担限度額:5000円)

    介護保険:要介護3

    収入:老齢年金受給(日額:70000円)

    住居:借家(一軒家:35000円)

    身体障害者(心臓機能障害)3級申請中

    看護小規模多機能居宅サービス利用状況

    6月初旬退院直後から2週間

    病院より退院された直後より、泊まりのサービスを開始し、ADLが改善し在宅療養可能な状態となるようにリハビリを行う。

    理学療法士による心臓リハビリを開始。運動能力の改善に応じて終日ベッドで過ごす状態で食事はベッドサイドであったが、デイルールで食事を摂れるようになり、ポータブルトイレから室内トイレを利用するようになる。さらに、歩行訓練、入浴介助へとADL拡大をはかり2週間後より、自宅復帰となる。

    退院2週間後からのサービス

    週3回は通所サービスを利用。

    週4日は自宅で過ごし、1日3回の訪問介護で(食事・排泄・掃除等の室内の管理、買物など)生活サポートする。週1回の訪問看護で心身状態をチェックしながら生活指導をする。週1回訪問リハビリにて自宅でのADL拡大をはかる。

    経過 

    8月22日、自宅で転倒し胸椎圧迫骨折したため、自宅療養は困難となり泊まりのサービスを利用してリハビリ・心機能の安定をはかる。

    9月9日に肺感染を併発したため、夜間呼吸困難出現し心不全の急性増悪がみられるようになる。内服剤の増量、利尿剤の静脈内投与でも心不全状態は改善しないため、強心剤(ドーパミン)の持続点滴を開始して、心不全症状は安定する。が、食事がとれない状況が続き、9月23日より中心静脈栄養を開始して、リハビリ栄養を行い病状は小康状態となる。

    10月12日、炎症反応の悪化とともに心不全はさらなる急性増悪を呈し、強心剤、利尿剤の増量をはかるも著効せず、呼吸困難の訴えが多くなる。

    10月14日、本人の希望、家族とのACPの結果、病院への入院はせず塩酸モルヒネによる鎮静をはかりながら心不全の治療を継続することとなる。

    10月24日、看護小規模多機能居宅施設での看取りとなる。